英文を読むことはできる、でもリスニングになると聞き取れない。
または、自分の英語がなかなか相手に伝わらない。
そんな経験はないでしょうか?
でも、それは仕方のないことなのです。
私たちが話す日本語と英語では、そもそもが発音の仕方が最もかけ離れた言語の1つなので、たとえ英文が読めたとしても、英語を聞き慣れていなければ当然脳が処理できず、聞き取れないのです。
この聞き慣れない英語の「発音」の要素として、
- 英単語の個々の発音
- アクセント
- リズム
- イントネーション
- リエゾン
大体この5つの要素を身につけることが重要とされています。
その中でも、『アクセント』は個々の単語の意味や発音を学ぶ以前に知っておくべき基盤となる要素なのでしっかりと理解しておきましょう。
英語のアクセント攻略のカギは『音節』を知ること
まず、英語のアクセントを学習する上では英語の『音節』を知らなければ、話になりません。
そもそも英語におけるアクセントの定義を言えば、『ある単語の特定の音節を他の音節よりも強調して発音すること』と言えるからです。
英語の『音節』とは?
音節とは、母音を中心とした音のまとまりの単位のことを言います。

つまり、『音節』は、母音ごとに分けられ、1音節につき母音が1つ含まれるということです。
例えば、
cat → cat(1音節)
pocket → po・cket(2音節)
important → im・por・tant(3音節)

ちなみに、springやstressなどは、
sp・ring st・ress
のように音節が分かれそうな気がしますが、これらの単語は見てわかるように、
spring stress
となり、母音は1つずつしか含まれていないため(1音節)の単語となるので要注意です。
アクセントとは、この『音節』を基準に、単語のどこを強調するのかを判断するのです。
ただ、英単語は何万語もあるので、全てのアクセントを1つ1つ把握するのは不可能です。
しかし、英語のアクセントには原則やパターンが存在するので、このいくつかの原則、パターンを把握することでほとんどのアクセントの位置を予測することができるのです。
英語のアクセントの大原則
まず、英語のアクセントの大原則を知っておきましょう。
これを知るだけでも、アクセントの予測がしやすくなります。
音節が3つまでならアクセントは大体1つ目
基本的には、音節が3つまでの単語は大体アクセントが最初の音節にくることを知っておきましょう。
(1音節)mind(mind)
(2音節)permit(per・mit)
(3音節)useful(u・se・ful)
音節が4つ以上ならアクセントは大体3つ目
音節が4つ以上になると、多くの単語はアクセントが3つ目の音節にくることも知っておくと便利です。
(4音節)automatic(au・to・mat・ic)
(5音節)biological(bi・o・lo・gi・cal)
英語のアクセントに何かと関わる『接頭辞』と『接尾辞』
アクセントの大原則は先程の通りですが、英単語には
決まって単語の先頭にくる『接頭辞』
決まって単語の末尾にくる『接尾辞』
があるものが多く存在します。
この『接頭辞』『接尾辞』が単語についている場合、先程お伝えした大原則とは違った音節にアクセントがくることが多くあるので、パターンをしっかり覚えておきましょう。
接頭辞自体にアクセントがある場合
主に
any- by- every- no- mid- pan- para- some-
などが接頭辞にくると、その接頭辞にアクセントが付きます。
条件がどのようになると接頭辞にアクセントが付くのかという確実な法則があるわけではないですが、
頭辞にアクセントが付く単語は、nobody、everybody、somebody のように、
- 語根(上記の例でいうところのbodyの部分)を共有する「接頭辞付き単語」が多く存在する
- 接頭辞が変化することで意味も変わる
という傾向があるようなので、1つの判断材料にしてみて下さい。

つまり、「body」という語根には、
nobody、everybody、somebody、
antibody、embody
のように、多くの接頭辞をつけることができ、意味も変わりますよね?
このように1つの語根に付けるといろんな意味になりそうな接頭辞には、そのままアクセントがつくことが多いと覚えておきましょう。
接頭辞にアクセントがつくパターン
any〜
anytime(any・time)
anything(any・thing)
by〜
bypath(by・path)
byproduct(by・product)
every〜
everything(every・thing)
everybody(every・body)
mid〜
midnight(mid・night)
midtown(mid・town)
no〜
nobody(no・body)
nowhere(no・where)
pan〜
pandemic(pan・demic)
panfried(pan・fried)
para〜
parasol(para・sol)
paradox(para・dox)
some〜
something(some・thing)
somebody(some・body)
接頭辞の直後にアクセントがある場合
主に、
a- ab- ad- be- com- con- de- di- dis - e- en- ex- im- in- per- pre- pro- re- res- se- sur- suc- sus- to- un- up-
が接頭辞にくると、アクセントは直後の音節になります。
このように接頭辞ではなく接頭辞の直後にアクセントが付く単語のほとんどは、先程とは逆に、
語根を共有する接頭辞付き単語があまりない
という傾向があるようです。
接頭辞の直後にアクセントがつくパターン
a〜
alive(a・li・ve)
asleep(a・sleep)
ab〜/ad〜
abnormal(ab・nor・mal)
advantage(ad・van・ta・ge)
com〜
combine(com・bine)
computer(com・pu・ter)
con〜
control(con・trol)
condition(con・di・tion)
de〜
demand(de・mand)
develop(de・ve・lop)
di〜
dilemma(di・lem・ma)
direct(di・rect)
dis〜
discount(dis・count)
display(dis・play)
e〜
edit(e・dit)
effect(e・ffect)
en〜
enjoy(en・joy)
entitle(en・ti・tle)
ex〜
exchange(ex・chan・ge)
export(ex・port)
im〜
important(im・por・tant)
impossible(im・pos・si・ble)
in〜
indeed(in・deed)
instructor(in・struc・tor)
per〜
perfect(per・fect)
permit(per・mit)
pre〜
predict(pre・dict)
precede(pre・ce・de)
pro〜
process(pro・cess)
produce(pro・du・ce)
re〜
reject(re・ject)
remote(re・mote)
res〜
research(re・search)
responsible(res・pon・si・ble)
se〜/sur〜
select(se・lect)
surround(sur・round)
suc〜
success(suc・cess)
succeed(suc・ceed)
sus〜
suspect(sus・pect)
sustain(sus・tain)
to〜
toward(to・ward)
together(to・ge・ther)
un〜
unlike(un・like)
unknown(un・known)
up〜
uphold(up・hold)
uproot(up・root)
接尾辞自体にアクセントがある場合
主に
-ee -teen -eer -ever -ese -self -esque -ette -ique -igue
などが接尾辞にくると、その接尾辞にアクセントがつきます。
このような、接尾辞自体にアクセントが付く単語の特徴は、
語根の意味よりも接尾辞が持つ意味の方が優先的に影響している
と言えそうな単語に多く見られるようです。
これも1つの判断材料にしてみてください。

例えば、seventeenやnineteenなどの場合、『teen』が表す10代、10の位という意味が優先的に影響していますよね?
このような接尾辞が付く単語はアクセントが接尾辞自体にアクセントがつくということです。
接尾辞にアクセントがつくパターン
〜ee
attendee(at・tend・ee)
employee(em・ploy・ee)
〜teen
seventeen(sev・en・teen)
nineteen(nine・teen)
〜eer
engineer(en・gi・neer)
volunteer(vol・un・teer)
〜ever
however(how・ev・er)
forever(for・ev・er)
〜ese
Japanese(Jap・a・nese)
Chinese(Chi・nese)
〜self
myself(my・self)
yourself(your・self)
〜esque
arabesque(ar・a・besque)
picturesque(pic・tur・esque)
〜ette
leatherette(cig • a • rette)
cigarette(cig・a・rette)
〜ique
unique(u・nique)
antique(an・tique)
〜igue
fatigue(fa・tigue)
intrigue(in・trigue)
接尾辞の直前にアクセントがある場合
主に
-ble -cal -able -ible -ical -ous -ious -ial -ian -ion -ity -ic -graphy -logy -ence -ual
などが接尾辞にくると、アクセントはその接尾辞の直前の音節となります。
このように、接尾辞の直前にアクセントがつくような単語の特徴は、
今度は逆に、接尾辞の意味よりも語根の意味の方が優先的に影響する単語
という傾向がありそうです。
接尾辞の直前にアクセントがつくパターン
〜ble
stable(sta・ble)、noble(no・ble)
〜cal
focal(fo・cal)、vocal(vo・cal)
〜able/〜ible
available(a・vail・a・ble)
possible(pos・si・ble)
〜ical
chemical(chem・i・cal )
mechanical(me・ chan・i・cal)
〜ous/ious
ambiguous(am・big・u・ous)、spacious(spa・cious)
〜ial
special(spe・cial)、official(offi・cial)
〜ian
vegetarian(veg・e・tar・i・an)
technician(tech・ni・cian)
〜ion
location(lo・ca・tion)
extension(ex・ten・sion)
〜ity
activity(ac・tiv・i・ty)
hospitality(hos・pi・tal・i・ty)
〜ic
atomic(a・tom・ic)
electric(e・lec・tron・ic)
〜graphy
biography(bi・og・ra・phy)
palaeography(pa・le ・og・ra・phy)
〜logy
biology(bi・ol・o・gy)
technology(tech・nol・o・gy)
〜ence/〜ance
absence(ab・sence)
distance(dis・tance)
〜ual
manual(man・u・al )
intellectual(in • tel • lec • tu • al)
1音節の単語に「接頭辞」「接尾辞」がついて派生した語は派生元と同じアクセント
その他「接頭辞」「接尾辞」に関するパターンとして、1音節の単語に「接頭辞」「接尾辞」がついて派生した語は派生元と同じアクセントになりやすいというパターンがあります。

例えば、『form[fɔ́ːrm]』という単語は1音節ですよね?
これに以下の
- inform(in・form)
- perform(per・form)
- conform(con・form)
- uniform(uni・form)
- formal(for・mal)
のように「接頭辞」や「接尾辞」が付いても、アクセントの場所は派生元である『form[fɔ́ːrm]』と同じということです。
ただし、formation[fɔːrméiʃən](for • ma • tion)のように、接頭辞や接尾辞の方にアクセントが優先される場合もあるので、注意は必要です。
1音節の語根に「接頭辞」「接尾辞」がついて派生した語のパターン
press[prés]
impress(im・press)
depress(de・press)
compress(com・press)
port[pɔ́ːrt]
report(re・port)
transport(trans・port)
support(sup・port)
ject[dʒékt]
eject(e・ject)
reject(re・ject)
inject(in・ject)
その他の知っておくべきアクセントのパターン
名詞と名詞の複合語は1つ目の名詞にアクセント
policeman(police+man)のように名詞と名詞が合わさった複合語は、1つ目の名詞にアクセントがくるというパターンも知っておくと楽です。
名詞と名詞の複合語は1つ目にアクセントがつくパターン
bedroom(bed・room)
boyfriend(boy・friend)
notebook(note・book)
baseball(base・ball)
同じ2つの子音が母音の前にあればその子音にアクセント
attention(a・tten・tion)のように、同じ2つの子音が母音の前にある場合、その2つの子音の場所にアクセントがつくというパターンもあります。
support(su・pport)
addition(a・ddi・tion)
pollution(po・llu・tion)
最後の母音を発音するときはその直前にアクセント
banana(ba・na・na)「バナーナ」のように、単語の最後の母音をちゃんと発音する単語は、その一つ前の母音にアクセントを置く場合が多いというパターンもあります。
piano(pi・a・no)
tomato(to・ma・to)
tornado(tor・na・do)
アクセントの位置で品詞や意味が変わってしまう単語
中には、単語の綴りは同じなのにアクセントの位置が変わると品詞や意味が変わってしまう、俗に言う『名前動後』の単語もあるので注意が必要です。
とくにTOEICのリスニングなどでも、これらの単語の聞き間違いでスコアを逃すということも少なくないので、しっかり把握するようにしましょう。
アクセントの位置で品詞が変わってしまう単語
①アクセントが違うと品詞が変わってしまう単語一覧
品詞が変わるだけなので、大きな意味の違いはありませんが、文脈上品詞が違っていると意味がおかしなことになってしまいます。
re•cord (名詞) … 記録、レコード
re•cord(動詞) … 記録する、録音 (録画) する
sus•pect (名詞) … 容疑者
sus•pect(動詞) … 疑う、嫌疑をかける
im•port (名詞) … 輸入、輸入品
im•port(動詞) … 輸入する
in•sult (名詞) … 侮辱、無礼
in•sult (動詞) … 侮辱する
con•flict (名詞) … 衝突、対立、戦争
con•flict(動詞) … 衝突する、対立する
per•mit (名詞) … 許可証
per•mit (動詞) … 許可する
re•ject (名詞) … 不良品、不合格品
re•ject (動詞) … 拒絶する、不合格にする
アクセントの位置で意味が全く別物になってしまう単語
アクセントが違うと全く意味が別物になってしまう単語一覧
これらの単語を聞き間違えると、大変なことになるので、とくに知っておく必要があるでしょう。
in•va•lid (名詞) … 病弱な人、病人、体の不自由な人
in•val•id (形容詞) … 無効な、効力のない
con•tent (名詞) … 中身、内容物
con•tent (形容詞) … 満足している
en•trance (名詞) … 入口
en•trance(動詞) … 夢中にさせる、うっとりさせる
ref•use (名詞) … ごみ、廃棄物
re•fuse (動詞) … 断る、拒絶する
ob•ject (名詞) … 物体
ob•ject (動詞) … 反対する、異議を唱える
des•ert (名詞) … 砂漠
des•ert (動詞) … 見捨てる、放棄する
con•sole (名詞) … (電子機器などの) 制御装置、操作卓
con•sole(動詞) … 慰める、元気づける
これらの単語はかなり重要なので最低限覚えておきましょう。
日本で定着しているアクセントの位置と全く違う単語
もともと英語だったものが日本語化して、違ったアクセントが定着してしまっている単語も数多くあるので、これらの単語の日本語化したアクセントに騙されないようにしておくことも重要です。
日本語化してしまった英語一覧
日本語化した英語一覧 | 日本語化したアクセント | 英語のアクセント |
advice | アドバイス | アドヴァイス |
elevator | エレベーター | エレヴェイター |
hotel | ホテル | ホゥテル |
idea | アイデア | アイディア |
calendar | カレンダー | キャレンダー |
他にも数えきれないほどありますが、単語をあらためて覚える際は、しっかり正しいアクセントで覚えましょう。
アクセントは英語で最も重要な『プロソディ(リズムやイントネーション)の基礎となる
英語の発音において、アクセント非常に重要な要素となります。
なぜなら、最も英語などを効率よく身につけるための理論『第二言語習得理論』の研究では、
『プロソディ(リズムとイントネーション)』が最も重要だということが証明されているからです。
アクセントは、その最も重要な『プロソディ(リズムとイントネーション)』の全ての基盤となる要素であるため、
アクセントを知らずして英語は話せないし聞き取れないということをしっかり理解して、学習に取り組むようにしましょう。
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